白い吐息

「新学期始まるまで、ここに泊まらせてくれないかな?!」

「えっ?」

想定外のとんでもない発言に一瞬固まる琴だった。

「迷惑かな?」

「めっ…迷惑って…そりゃダメでしょ…」

「何で?」

「だって、一応…あなたは男性だし…」

生徒だし―

「オレ、琴子には何もしないから!」

「だって…」

「指一本触れないから!」

それはそれで…女として、どうなのよ?

「そんなこと言っても、うちには客布団だってないし」

「大丈夫!寝袋持ってきたから!」

そう言いながらスポーツバッグを開く真人。

「寝袋?!…風邪引いちゃうでしょ」

「室内で仕様するなら平気だよ」

真人のスポーツバッグからは寝袋の他に服や下着等、生活用品が溢れてきた。

「本気…なの…?」

真人の顔を伺う琴。

「本気だよ」

真剣な目付きで真人はうなずいた。

「ご両親は知ってるの?」

まさか、家出?

「母さんには、ちゃんと話してあるよ。長谷川先生のお宅にお邪魔になるって。琴子ならって、安心してた」

「安心?」

「うん」

「それって、お母さんは私が実家で暮らしてるって勘違いしたんじゃない?!」

「そうだと思う」

淡々と語る真人。

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