白い吐息

「寒かったでしょ!これ持ってきたの」

琴がジャケットを渡す。

「ありがとう…」

照れながらジャケットに手を通す真人。

「髪は整える?一応ワックス持ってきたけど」

「いや…、それより琴子、素っぴんで来たの?」

「だって、慌ててたから…洋服も適当になっちゃった…」

琴の口がへの字になる。


「行こう」

真人が立ち上がり、琴に手を差し出す。

「えっ、何処に?」

「服選びに。開場まで、まだ時間あるしさ」

「服?」

「すぐ近くのショッピングモールでいいだろ。オレが全身コーディネートしてやる」

真人はぐいぐいと琴の腕を引っ張った。

「全身?」

琴は嬉しそうに笑った。









「短すぎない?」

鏡の前でくるくる回る琴。

「下のタイツ厚い素材だから寒くないだろ?」

「でも…こんなフリフリのスカート変じゃない?」

「オレ、フリフリ好きだもん」

「そっ…そう?」

赤くなる琴。

「あと、この黒のニット、エロくてよくない?」

「えーっ!これかなりギャルっぽいじゃん」

「オレ、これ好き」

「だけど、一応私、教師だしな…」

「今それ関係ないし」

「恥ずかしい…」

ニットを重ねてくねくねする琴。

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