白い吐息

「大丈夫、オレがいるときだけ着ればいいから」

真人の言葉で全身が火についたように熱くなる。

「バカ…」

「次は小物かな」

真人はスゴくイキイキしていた。



買い物を済ませ、化粧室から出てくる琴。

ドキン…

目が合った瞬間、2人同時に脈が高まる。

「へっ…変じゃない?」

淡いピンクと黒をベースに真人がコーディネートした姿は小悪魔系お嬢様といった感じで、今まで琴がしたことのないカッコだった。

「可愛い…」

無意識に零れる真人の言葉。

つーかヤバイ…

化粧もいつもと少し違う感じで大人の可愛さが溢れていた。

「まっ…真人は何か欲しいものないの?」

「オレ?」

「少し早いけど、クリスマスプレゼント」

「でも…」

「行こう」

今度は琴が真人の手を引いた。
若干赤ら顔の2人が店から店へと歩き回る。

「あっ…」

突然立ち止まる琴。

「何かあった?」

「真人、ピアスしてるよね。これ真人に似合いそう」

「どれ?」

琴が指さしたピアスは、シルバーの羽根をかたどったシンプルなものだった。

「羽根?」

「天使の羽根かな」

琴がニコニコ笑う。

「じゃあ、これ買って」

真人も出会った頃のような柔らかい表情をしていた。

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