白い吐息

「お似合いって、なんか古くさい」

琴は涙腺を制御して笑った。

「なんだよ。笑うなよ」

真人はほっぺを膨らませて口を尖らせる。

その顔を見て、琴はまた笑った。


白居先生を亡くしてから、こんなに笑える日がくるなんて思ってなかった…
こんなに幸せを感じられるなんて…

真人に会えて良かった…



「あーっ!」

突然叫ぶ琴。

「何?!」

驚き慌てる真人。

「まだライヴグッズ買ってなーい!」

「何だ、そんなことか」

「大事なことなの!ほら、行くわよ!」

駆け出す琴に真人は渋々の笑顔で付いていった。









グッズの列にならんで、CRYSTALグッズを大量にゲットした後、2人は大きな会場に入った。
チケットを見ながら席を探す。

「私、方向音痴だから、いつも席間違えるんだよね」

「琴子そんな感じするもんな」

「ひどーぃ!」

CRYSTALの曲が流れる場内で弾む琴の声。

「ここじゃない?」

真人は簡単に席を見付けた。

「きゃ〜!スゴい!ステージ近すぎだよ!」

「良かったねぇ〜」

周りを女子に囲まれて、少し居心地の悪いスイミー真人。

「私、アリーナって初めてなの。上原くん気付いてくれるかな?!」

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