白い吐息
いつしか琴も、真人の首に両手を回していた。


白居先生を亡くしてから、こんなに愛しく思える人に出会えるなんて思わなかった…


真人は琴をきつく抱き締め耳元で呟いた。



「結婚して」




真人…?








『あの家から、解放してよ!』



「真人?」

「寒くなってきたね。帰ろうか」

「うん…」






2人は外で夕食を済ませアパートに戻った。

いつものように、琴が入浴してる間に真人は寝袋を用意する。
琴が濡れた髪で部屋に戻ってくると、真人は既に寝袋に入って目を閉じている。

ドライヤーの音がいつも真人の男心を刺激していた。

琴はいつもと同じように布団に入ってから部屋の電気を消す。

「おやすみ」

真人が言った。


「…」

いつもなら返ってくるはずの琴の挨拶がない。

「琴子?」

「なんか…眠れないね」

「どして?」

「興奮して」

ドキッとする真人。

「CRYSTALカッコ良かったな〜」

そっちかよ…

「天宮くんのダンス、目の前で見るとヤバいよね」

「今度は天宮なの?」

「ダンスといえば天宮くんの腰だよ〜」

「へぇ…」

「絶対、禁だよ〜ハハハ」

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