白い吐息
「禁って何だよ…。しかも琴子思い出し笑いキモい」
「だって〜クスクス」
「琴子。早く寝なさい」
「何それ?お父さん?」
「いつまでも起きてると狼さんが襲いにくるぞ」
「狼さん?」
琴は笑いながら尋ねる。
「そう、狼さん」
真人はギュっと目をつぶっていた。
「真人じゃないんだ。残念なの〜」
何言っちゃってんの?
しかも声、近くない?
真人がパッと目を開けると、真横に琴が座っていた。
「…こっ…琴子?」
琴は何も言わず、寝袋のジッパーを引いた。
慌てて飛び起きる真人。
「…なっ何?」
「怖い夢、乗り越えよう」
「はっ?」
「私が真人を助けてあげるから」
「琴子?」
琴は真剣な目をして真人を見つめていた。
「私の隣で寝ていいよ」
突き上げるような衝撃が真人の身体に走る。
「なっ…ダダ…ダメだよ…だって…」
思い切り目を反らす真人。
「だって?」
「オレ…男だよ」
「知ってるよ」
「…我慢とか…無理だよ」
「うん」
「かっ確実に…」
息が荒くなる真人。
「きゃっ」
真人は琴をお姫様抱っこで抱き上げると、そのままベッドに押し倒した。
琴はゴクっと唾を飲む。