白い吐息
何度も琴の髪をなでる真人。
そのまま流した指で彼女のパジャマのボタンを弾く。

「ぁっ…」

琴の口から零れる言葉。

真人の熱い唇が首筋を這う。
柔らかなシャンプーの香りに琴の鼻がくすぐられる。

「…琴子…恐い?」

甘く囁かれた言葉に首を振る琴。


白い肌が重なる。


キレイ…


心の中では2人の声が重なる。

海の波に似た、例えようのない感情が高ぶる。
誘われて、堕ちてゆく。
地獄とも天国とも呼べる禁じられた楽園。
未知との遭遇。

望んでいたの?

そう、私は望んでいたの

この果実が欲しかったの…


月明かりの下。
2人は指を絡ませながらひとつになる。


「…ァ…ンン…」


痺れてゆく心。

深い…深い愛の湖。


「…んっ…ま…な……」

言葉は簡単に砕けていく。


響く銃声に琴の身体は壊れそうだった。

光る涙を真人は舌を巻いて吸い取る。



「琴子っ……」



真人…?














『琴子?』

『はい?』

『なんでもない…』

『何それ?』

『いゃ、…ただ、呼んでみたくなっただけ』

『…変なの…////』

『欲しいものある?』

『今ですか?』

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