白い吐息
『なんていうか、漠然とした感じで欲しいもの』
『はっ?』
『意味分からないか…』
『……』
『ゴメン、変なこと聞いたな。忘れてくれ』
『……』
『困った顔するなよ』
『…翼…とか?』
『翼?』
『私、羽根が欲しいな。天国のおじいちゃんに会いに行くの』
『羽根…か』
『この解答は不満?』
『いや、琴子らしいな』
『先生は何が欲しいの?』
『…言えない』
『ズルい。人に聞いておいて逃げるの?』
『逃げて悪い?』
『もーぉ!バカバカ』
『バカっ…痛てぇ。教師を殴るな』
『どこが教師なんだか?』
『なんだと?』
『ただの女好きの変態でしょ』
先生は何が欲しいの?
オレは琴子の全てが欲しいよ…─
朝の光で目覚める琴。
ふと横を見ると真人が可愛い顔でスヤスヤと眠っている。
あんなことがあったのに白居先生の夢見るなんて…
私ってサイアク…
琴は罪悪感に浸りながら、寝ている真人の髪をなでた。
この感じがたまらなく愛おしい…
「真人…」
微笑む琴。
「……ん?」
真人が薄ら目を開ける。
「…起きて…た…の?」
「今、起きた」