白い吐息

「だいたい突然のことなんだから、ちゃんと準備しておきなさい」

「はい…」

「白居くんにも、ちゃんと言うのよ」

「はい…スミマセン」

「それと」

「まだ何か?」

首を乗り出す琴。

「そのニットだと首元のキスマークちらちら見えるから、今度からとっくり着て来なさい」

「とっ…とっくり?」

首をひねる琴。

「今は…なんて言うのかしら、この首の丈までの?」

恥ずかしそうに考える関口先生に、琴は思わず吹き出してしまった。

「何よ。おばさんで悪かったわね」

「ゴメンなさい」

半分笑いながら謝る琴だった。

「ハイ…ネック?」

「Yes. It's highneck.」


「そうだ、大事なこと伝えるの忘れてた」

急に立ち上がる関口先生。

「大事なこと?」

「森下先生、新学期から復帰するから、正月明けたら通勤してくるらしいわよ」

「マジですか?」

「何かされたら、私に言いなさいね」

「…はい」


森下先生か…
すっかり忘れてた

あの人のこと
真人に聞いてみてもいいのかな…


だるそうに琴も席を立つ。

「戻る?」

「…私はもう少しここにいます。掃除とかしてないみたいだし」

「そんなの生物担当に任せればいいのに?」

肩を揉む関口先生。

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