白い吐息

「でも、一応私もここの担当だし」

微笑む琴。

「そう?じゃあ、先戻ってるわね」

琴が頷くと、関口先生は部屋から出て行った。




締め切ったままの窓を開ける。
冷たい風が琴の髪をなびかせた。

「痛い…」

頬を突き刺す冷気。

琴は窓を開けたまま、いつも真人が座っていた席に座り直した。

「腰痛なのに掃除は無理よね」

と、独り言。

関口先生のことだから
嘘って見抜かれてたかもね…


真っ直ぐ黒板を見つめる琴。
今でもハッキリ頭の中にイメージできる。
左手で書いてもらったメッセージ。
彼からの告白。

「I love Koto…」

そう呟くと、琴は机にうつ伏せた。

盗聴、盗撮してまで真人を脅す森下の狙いって何なの?

真人は何故、森下に秘密を握られているの?

あの2人の繋がりって…

一体何なの?

私が解決できるものなの?



その時、ポケットに入れていた携帯電話がバイブした。

電話だ。


発信者名は…


「もしもし、戸部くん?」

「「あ、先生?今大丈夫?」」

琴は何かの為に戸部に携帯番号を教えていたのだ。

「大丈夫だよ。それより何かあったの?」

「「真人のことなんだけど、今朝あいつの弟の皆人に会ったから、ちょっと話聞いたんだ」」

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