白い吐息

「「…そうなんだ。まぁ、先生が知ってるならいいや」」

「ごめんね。色々」

「「真人の為だからさ。また何かあったら連絡します」」

そう言って、戸部は電話を切った。

携帯を握る琴の手は汗ばんでいた。
天井を見て大きくため息をつく。

「嘘ばっか…」


真人の両親…

ホテル暮らしの父と気を遣う母…

白居家の秘密…

森下が握る秘密…



「あぁ〜!訳分かんないよ!」
















『嘘って悪いこと?』

『はっ?何だよ急に…』

『嘘付きは泥棒の始まりって言うしね』

『琴子、誰かに嘘ついたの?』

『う〜ん…。分からない』

『なんじゃ、そりゃ?』

『先生、嘘と秘密って何が違うの?』

『嘘と秘密?』

『両方共、隠し事には違いないでしょ?』

『確かにな』

『じゃあ、何が違うの?』

『嘘は真実じゃないことだろ。秘密は真実。簡単に分ければ、こんな感じかな?』

『…秘密は真実だけなの?』

『…?』

『…先生にも分からないこと、あるんだね…』

『お前、何で今日はそんなに不機嫌面なんだよ…?』

『だって…』

『何?』

『やっぱいい…』

『…琴子?』

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