白い吐息
崩壊 〜Trap〜
「明けましておめでとうございます!」
保健室のドアをガラッと開いて飛び込んでくる琴。
その顔は笑顔で溢れていた。
「今年もよろしくね」
イスに座ったまま振り返った関口先生が微笑んだ。
それは新年最初の出勤日。
冬の青空がとても眩しかった。
「職員室には行ったの?」
「はい」
「森下に会わなかった?」
「やっぱり来てるんですね。荷物があったから…」
急に不安げな顔をする琴。
「心配いらないわよ。普通に接してればいいだけ」
「ですよね…」
「いざとなったら私が助けるし!」
プニプニした腕で力こぶを作ろうとする関口先生だったが、琴はとても力強く感じた。
「ありがとう先生」
「あれからどう?白居先生の夢の方は?」
「見なくなりました。命日の日にお墓参りで真人のことを伝えてきたんです…」
遠くを見るように語る琴。
「そう…」
「やっぱり、私に疾しい気持ちがあったから、あんな夢を見せられていたのかもしれません」
「その顔見て、安心したわ」
琴は照れ笑いをした。
「そうだ、白居くんはまだ一緒にいるの?」
「いえ、大晦日の夜に帰りました。私も実家に帰ってたんで」