白い吐息
「淋しい〜?」
琴の頬をつつく関口先生。
「淋しくないですよ〜。毎日電話してるし…昨日も一緒に出掛けたし…」
にやつく琴の顔。
「のろけ話かぁ。つまらないわね」
そんな皮肉を言いながらも関口先生の目はいつもと変わらず優しかった。
もう、先生に心配はかけたくない…
私は生まれ変わったんだ
強くならなくちゃ…
ガラッ…
新学期の教材資料を探すため、琴は英語科の資料室を訪れた。
鼻歌を口ずさみながら資料を探してゆく琴。
「ずいぶんご機嫌ですね。長谷川先生」
背後から聞き覚えのある声。
とても嫌な声。
琴はゆっくり振り返った。
「明けましておめでとうございます」
資料室の窓際に立つ男の姿。
それは間違いなく森下だった。
「あっ…明けましておめでとうございます。ご容体は…もういいんですか?」
唇を震わせる琴。
「先生がお見舞いに来てくれたお陰でスッカリ良くなりました」
嫌み…
「そうですか。女子生徒が心配してましたから、良かったですね」
琴は強きに出る。
もう、昔の私じゃない!
「長谷川先生、その後白居から何か聞き出せましたか?」