白い吐息
急に話題を変える森下。


「秘密のことですか?」

「あなた、知りたがっていたでしょう。僕が握っている、白居の秘密を…」

「そのことなら真人にちゃんと聞きました!」

クスクスと笑いながら喋る森下に琴は苛立ちを感じた。

「…真人ねぇ」

「私が聞いたら、ちゃんと話してくれました」

この男、最低…


「どこまで?」

「へ?」

「白居真人はどこまで秘密を打ち明けましたか?」

「どこって…」

戸惑う琴。

「教えて下さい。僕と彼の秘密」

「…真人は貴方に裏口入学させてもらったと…真人のお父様の知り合いの息子が…貴方だと…だから」

「だから?」

「…大手貿易企業の社長であるお父様が…頼み込んで…その…息子が中卒なのは困るから…」

琴は話しながら頭が混乱していた。

「仕方ない奴だな白居も。…そんなことしか話してないのか」

そんなことしか…?
他にも何かあるの…


「僕はもっと重大な秘密を握ってるんですよ。長谷川先生」


重大な秘密…?


「この秘密を公にしたら、白居はココには居られなくなる。それどころか家族が崩壊しかねない。父親も転落ですよ…」

笑いながら冷たく言い放つ森下。

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