白い吐息
何が言いたいの…
「僕はね、長谷川先生。白居に恨みがあるんですよ」
「恨み…?」
「だから、こんな秘密いつまでも握っている必要はないんだ…」
「どっ…どういうことですか?」
「今すぐにでも奴を地獄に落とせるということです」
琴の背中に冷たい汗が走った。
「…その秘密を…ばらすって…いうこと…ですか?」
「That's right.」
「何を考えているの?!」
声を荒げる琴。
「…そんな大きな声出したら、誰かに聞こえますよ」
「だって…いくら恨みがあるからって…自分の生徒じゃありませんか?」
「その生徒とあなたは何をした?」
急に低い声になり、森下は琴の腕を掴んだ。
「やめっ…」
「あなただって罪をおかしてるじゃないか。生徒と寝るなんて」
ドキッ─
何で知ってるの…
強ばる琴の顔。
「あなたとの関係がバレたら、白居はどうなる?奴の家族は?」
「……」
「長谷川先生、あなたも僕と同じじゃないか?」
同じ…?
違う…私は…
「取り引きしませんか?」
口元に笑みを浮かべて森下は言った。
「取り引き?」
「この取り引きを受け入れてくれたら、僕は白居の秘密を決して誰にも話さない。勿論、あなたとの関係も…」