白い吐息

「本当…なんですか?」

「誓いますよ。この一連の話は無かったことにする。長谷川先生ともただの同僚ということで、白居の話は一切しない」

そう言って森下は資料室のドアに鍵をかけた。

「…とっ…取り引きって?」

琴は声を震わせる。


「今、僕に抱かれてください」

見開く琴の目。
不適な笑みを浮かべる森下。


「嫌なら、いいんですよ」

脅し?
はめられたの?!

「白居の運命は…長谷川先生、あなた次第だ」

悔しい!

でも……

「どうしますか?」

「……本当に…絶対…約束してくれるんですか…」

「関口先生にも内緒にしますよ」

「…真人…にも?」

「勿論」

そう言いながらネクタイを緩める森下。


真人を…助けなきゃ…

真人を…守らなきゃ…

私しか助けられない…

私しか守れない…

すべては真人のため…

真人の…

愛する人のため…

「……取り引き…お受けします」

恐がってはダメ…


「強くなられましたね、長谷川先生…」

森下の手が震える琴を捕らえる。
そして強引に床に押し倒した。

「…っ…」

「僕はあなたが好きだった…。なのに…よりによってあんな奴に…」

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