白い吐息
関口先生の他愛もない話に琴の心は癒されていった。

「ところで、白居くんとは上手いこと続いてるの?」

耳打ちする関口先生。

「はい…」

琴は小さく呟いた。

実はあの電話があった日以来、真人とは会っていなかった。
電話をしても切断状態が続いていて、話すことも出来ずにいた。

何かあったのか…

あの日、拒絶したことが真人を傷つけたのか…?

琴は、この新学期が待ち遠しかった。



早く真人に会いたい…













『会いたかったんだ…』


『僕に?』


『兄弟がいる、そう聞かされたら会いたくなるだろ?』


『こんな僕でも?』


『…もっと、幸せそうな顔をしてるかと思った』


『みんな、嫌いだから』


『みんな?』


『家族も学校もみんな…』


『自分は?』


『自分?』


『自分のことは好きか?』


『…嫌い』


『だから、みんなを嫌いになるんだよ』


『何で?』


『自分の幸せを望んでいないからかな』


『…?』


『難しいか…。まぁ、簡単に言えば嫌いな奴の幸せを願う奴は居ないってことだよ』


『分からない…』


『自分が嫌いだから、そんな自分を不幸にしたいんだよ』

< 220 / 345 >

この作品をシェア

pagetop