白い吐息
離別 〜Another〜
「最近、変わったことある?」
「なんでですか?」
いつものように保健室で昼食を取る琴と関口先生。
「何か、そんな顔してるから」
関口先生はやはり鋭い。
「別に…」
琴は弁当箱の中のチキンライスをフォークでつついていた。
別に…
私は何が言いたかったのだろう
でも、真人と別れたわけじゃない
連絡が取れないだけ…
声が聞けないだけ…
顔が見れないだけ…
会えないだけ…
ただ、それだけだ
「関口先生から頂いた野菜美味しいですね」
気丈に振る舞い、話題を変える琴。
「え?…あぁ、実家から沢山送ってくるのよ」
「ご両親、お元気なんですね」
琴は微笑む。
「まあね。父親が高血圧で心配なんだけど」
「そうなんですか…」
ガラガラッ─
その時、大きな音を立てて保健室のドアが開いた。
「びっくりしたぁ」
と、関口先生。
「どうしたんですか、田口先生?」
入り口に立ったまま息を切らしていたのは、田口先生だった。
琴はその様子が滑稽で、半笑いで話し掛ける。
「つっ立ってないで、早く中に入りなさいよ。寒いんだから」
関口先生も冗談まじりで出迎える。