白い吐息
「ヤダー!言っちゃった!」
いつものテンションに戻り赤くなりながらはしゃぐ田口先生。
嘘だ…
「…えっ…あの…本当に白居真人くん…なの?」
いつも、何があっても動揺しない関口先生の声が震えていた。
「はい!白居くん、前から可愛いなって思ってたんです。雰囲気は上原くんに似てるけど、上原くんもカッコいいし〜!あっ、CRYSTALでは勿論、優仁命ですよ〜」
嘘だ…
「はっ…長谷川先生?」
困惑して琴に声をかける関口先生。
しかし、琴の耳には何も届いていなかった。
嘘だ…
嘘だよ…
ねぇ…
真人………
イスから滑り落ちるように、琴は床に倒れた。
真人…
『昨日、夢みたんだ』
『夢?』
『うん。琴子がお嫁にいく夢』
『私が?』
『お父さんは悲しかった!』
『…なにそれ』
『いや、…本当に悲しかったよ』
『何で…先生が悲しがる必要があるの?』
『…いつか、そんな日が来るのかなって思ったら悲しかったんだよ』
『へぇ…』
『琴子って、呼べなくなる日が来るんだな…』
『呼んでてよ』
『ん?』
『先生は…一生、琴子って呼んでていいよ…』