白い吐息
『でもなぁ、妻の前で間違えて呼んだら浮気発覚だしな』
『私…浮気相手なの』
『不倫だなぁ!琴子!』
『もぅ!変な妄想はやめて下さい!』
『……』
『……?』
『見たいな…琴子のウエディング姿…』
『勝手に見に来れば…』
先生…
先生?
「先生?…長谷川先生!」
琴がうっすら目を覚ます。
しばらく白い天井を眺めて、そっと視線を横に動かした。
「先生、大丈夫?」
「戸部くん…」
琴が寝ている保健室のベッドの横に関口先生と戸部が座っていた。
「心配して、来てくれたのよ」
関口先生が不安そうに琴の顔を覗き込んだ。
「なんで…」
「真人から、田口先生と付き合ってるって聞かされて…」
そうか…
「職員室まで来てくれたんだけど、あなたが居なかったからここへ」
関口先生が戸部に続ける。
そうだった…
「先生、真人といつ別れたの?」
「…てない」
「え?」
「別れてないよ…」
琴の涙が耳の方へ零れた。
「…でも…あいつ」
「別れたって、言ったのね?」
琴に変わるように関口先生が言った。
「うん…」
そんな…