白い吐息
「最近、真人の奴すごく変だったんだ」
「変?」
琴の代返を続ける関口先生。
「他の奴の前では明るくしてるのに、ひとりになると人が変わったみたいに深刻な顔してて」
「何か悩んでる感じだったの?」
「淋しそうにしてた。でも、オレが声かけると無理して明るくするんだ」
「そう」
頭を傾げる関口先生。
「でも、さっき田口先生のこと聞いて、淋しくしてたのは長谷川先生と別れたからなんだって思ってたんだけど…それも違うんだね」
「どうなの?長谷川先生、あなた白居くんとは順調だって言ってたじゃない」
関口先生の言葉を聞いて、琴はゆっくり起き上がった。
「…真人とは、ここ1週間連絡が取れなかったの」
「会ってなかったってことなの?」
「電話もメールも…返事してくれなくて…」
琴は両手で顔を覆った。
「最後に会話したのはいつ?」
関口先生は琴を優しく抱き締める。
「……年が明けて…最初の……出勤の日です…」
声を押しつぶして話す琴。
息をつくのも辛そうだった。
「その時、何を話したの?」
「…真人…家の前で…待ってるって…電話で……でも……私…私…どうしても会えなくて…」
「会えない?」