白い吐息

「はぃ…」

「あの日、私は先に帰ったけど、あなた何か忙しい用事でもあったの?」

琴はゴクリと唾を飲んだ。


言えない…

だって…

関口先生は琴の身体の震えを感じた。

「戸部くん、悪いんだけど席外してくれる?」

「はっ…はい」

「ごめんなさいね」

戸部は急いで保健室を出た。
それと同時に琴は子供のようにワンワンと泣きだした。
関口先生は何度も琴の背中をさすった。

「何で嘘なんか付いてたのよ。白居くんに会いに行けなかった理由、ちゃんと話して」

「…それは…」


思い出したくない…


「森下と何かあった?」

関口先生は琴の泣き声をズバッと切った。


琴は関口先生の優しい顔を見つめる。

「何かあったのね」


コクリと頷くと、琴はゆっくり一部始終を関口先生に話した。


頭を抱える関口先生。

「あれほど、私に言いなさいって言ったじゃない」

「ごめんなさい…」

琴はベッドの上で膝を抱える。

「それが、白居くんの耳に入ったんじゃない?」

「…でも、森下先生と約束したんです。約束は守ってもらってます…私には必要以外話して来ないし、関口先生にも…」

「白居くんにだけ話してたら?」

「……」

「あいつ、白居くんの担任よ」

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