白い吐息
真人にだけ…
「そうなのかな…」
「有り得ない話じゃないわよ」
それで
真人は私に幻滅したの?…
「私、森下先生の所に…」
真実を知りたい…
「やめなさい。今更何を言っても無駄よ」
関口先生は立ち上がろうとする琴の腕を掴んだ。
「でも…」
へなへなとうなだれる琴。
「森下の所には私がいくわ」
「関口先生が?!」
「私はあなたの親みたいなもんじゃない」
にこりと微笑む関口先生に琴の胸は熱くなった。
ありがとう…
先生…
言葉にならなくて、琴はまた涙を零した。
「あなたは白居くんとちゃんと話なさい。彼の言葉を信じるしかないのよ」
「…真人と話す?」
「理由を聞くのよ。私、田口先生のこと応援しちゃったんだから、白居くんの所へはあなた本人しか行けないわ」
不安そうな琴の手を握り、関口先生は瞳を閉じた。
「私…大丈夫かな…」
「大丈夫よ。あんた強くなったもの…」
心地よい関口先生の声…
安心する声…
本当にお母さんみたい…
私も、先生みたいな教師になれるかな?
「森下先生」
階段を下りて行く森下を関口先生は上から呼び止めた。
「…なんだ、関口先生じゃないですか。そんな大きな声でびっくりしましたよ」