白い吐息
「あなたに聞きたいことがあるの」
一定の距離を置いて話す2人。
「長谷川先生のことですか?」
「やっぱり、あなたが関係してるのね」
「聞いたんですか、長谷川先生に?」
「彼女、全部隠さず話してくれたわ」
「自分から吐くなんて、まだまだ子供だなぁ」
クスクス笑う森下。
「最悪な男ね」
「僕がですか?」
「そうよ」
強気な関口先生。
「僕は、あの日のことは誰にも言ってませんよ」
「じゃあ、何で白居くんが…」
「白居がどうかしましたか?」
森下は表情を崩すことはなく、たんたんと返した。
「本当にあの日のことは白居くんに言ってないの?」
「約束は守りますよ。あそこまでされたらねぇ…」
「…他に、何かあるの?」
「さすが関口先生、鋭いですね」
森下の口元はずっとにやけていた。
「白居くんに、何を言ったの?」
「それは言えません」
「…何かを言ったことは確かな訳か」
関口先生は階段を下り、森下と同じ目の高さに合わせた。
「それが聞きたかったんですか?」
「何が目的?」
「関口先生には関係のない話ですよ」
階段を下っていく森下。
「私は、長谷川琴の代理よ。あなたのしてきたこと、全部ぶちまけられるわ」