白い吐息
「…別れたいの?」
「うん…」
真人……
「つーか、オレもう田口先生と付き合ってるし」
「田口先生のこと…好きなの?」
そんなの
誤魔化しだよね…
「田口先生のことは前から気になってたんだ。長谷川先生と会う前から…」
「いつ…?」
「関係ないだろ」
冷たい…
こんなの真人じゃない…
きっと何かある…
「私のこと…一目惚れだって言ってたじゃん…」
琴は歯を食い縛った。
「気の迷いだよ…。オレまだガキだし…一目惚れとかって、やっぱ有り得ない」
真人…
そんなの酷いよ…
琴はフラつきを押さえるため、座席についた。
「ごめんね先生。ガキの遊びに付き合わせちゃって」
遊びなんて…
嘘だよ…
「…もう…戻れないの?」
涙を流しながら震える声で押し出す言葉。
「戻れない…」
「…さよならなの?」
「さよならだよ…」
「…そっか…」
夕日に照らされた真人の目にも、うっすら光るものがあった。
しかし、琴はそれを見ることが出来なかった。
そうだ…
これだけは聞かないと…
「ねぇ…白居くん…?」
もう…
真人って呼べないんだね