白い吐息
その日、案の定琴は眠れなかった。

真人の匂いが残るシーツに包まれて…、泣きたくてももう涙は出なかった。
涙腺が枯れてしまったのか。
それとも、信じたくない気持ちがまだ残っているのか。
それは本人にも分からなかった。

つまらないテレビ番組を真っ暗な部屋で見つめていた。
番組内容なんて頭に入るどころか、耳をかすめることさえしなかった。
ただの照明といえばいいのか。




何故?

琴の頭はそれでいっぱいだった。


どうして?

考えても答えは見つからない。



分かったのは、自殺未遂と自分が関連しているかもしれないということ。

でも、あくまで「かも」である。
体よく近付けなくさせる嘘といってしまえばそれまでだ。


悪夢…


真人の見ていた悪夢って、自殺未遂のことだったの?


でも
私が側にいると落ち着くと言ってくれた…


悪夢を見なくなるとさえ…



その言葉に嘘は感じられなかった…





私は…


何を信じていいの?




関口先生は


何を話そうとしているの?





謎ばかり…


なんだか


もう疲れた……















『…疲れた』

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