白い吐息
『は?』
『受験って…何の為にするんだろう』
『そりゃ、大学合格の為だろ』
『そーいう意味じゃなくて…』
『勉強、やめたいのか?』
『やめたい訳ではないけど、何の為に勉強して、それがどう人生で役に立つか分からないから…』
『琴子は難しく考えるのが好きだな』
『笑わないで下さい。真剣なんだから』
『ゴメンゴメン、勉強の意味かぁ…。オレも昔考えたことがあるよ』
『先生も?』
『数学の方程式とか、歴史の年号とか、何の役に立つのかなって』
『で、答えは出たんですか?!』
『いゃ…』
『……なんだ』
『答えなんてないんじゃないかな』
『ない?』
『勉強する意味がないじゃなくて、意味がないから勉強するみたいな』
『…?』
『生活の知恵は自然に身につくだろ、例えば…喋ることとか、汚れたものに触ったら手を洗うとか』
『…はい』
『でも、学校で教えてる勉強は自然には身につかない。だからわざわざ勉強する』
『…なるほど…』
『人は学びたがりの生き物だと思うんだよ』
『それって、知りたがりってやつ?』
『まぁな…』
『そっか〜…』
『オレなりの考えだけどね』