白い吐息
「オレも」
戸部が頷く。
「…真人は…森下先生に秘密を握られていました。裏口入学で…真人のお父様と森下先生が知り合いだったからって」
「その話はオレも知ってるよ。真人は入学は望んでなかったから」
「真人はお父様の名誉を汚さぬよう、お父様に頼まれた森下先生によって私たちの高校へ入学させられたんだよね?」
「それは間違いないと思うよ。でも、真人と森下って他に何かあると思う」
「他に?」
「あんたは、秘密のことはそれしか知らないの?」
2人の目はとても真剣で、琴は申し訳のない気持ちになった。
「真人は、秘密はそれだけだって言ってました…」
「そう…」
「長谷川先生は、その白居って先生のことは真人に話してあるんだよね?」
「うん。それを知ってた上で付き合ってたから…」
過去形に琴はため息を混じらせる。
「名前は?」
急に思い出したかのように関口先生が発した。
「白居くんに、同じ名前だってことは言ってたの?」
「…あっ」
「言ってないのね?」
そうだった…
私にも秘密があったんだ…
「言えなかったんです…嫌われるのが…怖くて…」
なかったことに…
しようとしてた…