白い吐息

『来てくれなかったの?』

『風邪ひいたんだよ』

『風邪…』

『弁当作ってくるって言うから楽しみにしてたのになぁ…』

『御愁傷様』

『なんだよ。もっと励ましてくれよ』

『オレ、人の励まし方知らないんだ』

『そうか。だったら教えてやる!』

『今?』

『簡単だよ、誰かを励ますなんて』

『……?』

『辛い、悲しい顔をした人を見かけたら、そっと笑顔をみせてやればいいんだよ』

『笑顔?それだけ?』

『下手に何か言うより、ずっと励みになるよ』

『出来るかな』

『動物や赤ん坊見ると自然と笑顔になるだろ?それでいいんだよ』

『自然と…』

『大丈夫。お前、ちゃんと笑えてるよ』







オレ、
今笑えてるかな…













「ここで間違いないの?」

関口先生が戸部に聞いていた。

「確かだよ」


琴は目が乾くほど、まばたきもせず、目の前の墓を見ていた。


白居先生…

どうして?


どうして真人がここに来てたの?



「長谷川先生?」

関口先生が琴の顔を覗く。

「白居先生の家族は、お母様ひとりだけだったんです。今はここに2人で眠ってるんです」

「父親はいなかったの?」

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