白い吐息
「私は詳しいことは知らないけど、先生親子は親戚と付き合いがなかったみたいで、だからお父様のことは分かりません」
「立派なお墓よね」
「毎年、先生の命日にはここを訪れていました。だから、私も不思議だったんです。この立派なお墓を誰が守っているのか…」
「真人の家族と関係あるのかな?」
戸部が考え込む。
「同じ名前の2人だもの、何か関係があってもおかしくはないわよね」
琴も黙って頷いた。
「次、行く?」
戸部がぞくぞくした身体をさすりながら言った。
「ただいま…」
「おかえりなさい。最近早いわね」
白居家の玄関で真人に微笑みながら話す母。
「部活、活動してないからさ」
「真人、部活なんて入ってたの?」
「外国語の勉強する部活だけど、部員が少ないから活動も少ないんだ」
真人はリビングのソファーに腰掛ける。
「外国語…」
「別に親父とは関係ないよ」
「そっ…そうよね」
「皆人は今日も遅いんだろ?」
「塾があるからね」
「あいつなら、いい跡取りになるよ…」
その言葉に母は返す言葉が見つからず、ただ、しゅんと立ち尽くしていた。
「今日は、ジャスミンがいいかな」
真人は母に笑顔で言った。