白い吐息
壁に血の後を残し、真人は走り去った。
途方に暮れる戸部。
もう真人を追い掛ける力もなく、ただ冷たい空気を吸っていた。
真人は階段に座り込み左手の傷を見ながら、追ってこない戸部に淋しさを覚えた。
「痛い…」
生きているから
痛みを感じる…
誰かが言ってたな……
何でオレは
助かったんだ…
何であの人は
犠牲になったんだ……
もう……
何も奪えない…
何も…
『昨日、戸部の誕生日だったんだ』
『近所に住んでる戸部くんのことか?』
『…うん』
『12歳の誕生日かぁ〜。若くていいなぁ』
『オレ…何も言えなかった』
『?』
『誕生日、祝ってあげたかったのに…』
『恥ずかしかったのか?』
『…分からない』
『戸部くんはお前にとって、どんな存在?』
『友達…』
『どんな友達?』
『……他の奴らと…違う感じ』
『優しいか?』
『優しい』
『一緒に居て、楽か?』
『うん』
『戸部くんが泣いてたら悲しいか?』
『泣いたとこ見たことないけど…』
『もしも、泣いてたら?』
途方に暮れる戸部。
もう真人を追い掛ける力もなく、ただ冷たい空気を吸っていた。
真人は階段に座り込み左手の傷を見ながら、追ってこない戸部に淋しさを覚えた。
「痛い…」
生きているから
痛みを感じる…
誰かが言ってたな……
何でオレは
助かったんだ…
何であの人は
犠牲になったんだ……
もう……
何も奪えない…
何も…
『昨日、戸部の誕生日だったんだ』
『近所に住んでる戸部くんのことか?』
『…うん』
『12歳の誕生日かぁ〜。若くていいなぁ』
『オレ…何も言えなかった』
『?』
『誕生日、祝ってあげたかったのに…』
『恥ずかしかったのか?』
『…分からない』
『戸部くんはお前にとって、どんな存在?』
『友達…』
『どんな友達?』
『……他の奴らと…違う感じ』
『優しいか?』
『優しい』
『一緒に居て、楽か?』
『うん』
『戸部くんが泣いてたら悲しいか?』
『泣いたとこ見たことないけど…』
『もしも、泣いてたら?』