白い吐息

「オレ…なんか必死になっちゃって、真人に真実喋らせようとしちゃって…ムキになって事件のこと問いただしたら、アイツ…思い出したくないって怒鳴って……」

「思い出したくないか。確かに自殺未遂なんて思い出したくないかもね」

関口先生がコーヒーをすすりながら言った。

「…やっぱオレ最低だ…」

「そんなことないよ。戸部くんは私のためにしてくれたんだもん」

「白居くんのためでもあるわよね?」


「…うん」

琴は胸の奥が痛くなった。
真人の親友を彼から引き離してしまったような罪悪感を感じて。

いつも陽気な戸部が悲しい顔をするのは…
相手が真人だから。

戸部も真人を思ってるんだと考えると、戸部に色々させていた自分が惨めに思える琴だった。

「でも真人から、いくつか聞き出せたよ。真人は白居先生の存在を知ってた」



やっぱり…



「だけど、長谷川先生が好きだった人だってことは知らなくて、最近森下に聞いたんだって」



やっぱりそうなんだ…



「でも長谷川先生に幻滅した訳じゃないみたいなんだ。他に理由があるみたいで……」


「他の理由?」

「オレは事故と事件のことだと思う」

戸部はキッパリ言う。

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