白い吐息
「…分からない…なんで…なんで」
琴は床に座り込んだ。
「琴子…」
真人、いや白居先生は両手で琴の肩を掴んだ。
「なんで…まな…」
琴は溢れる涙を止めることが出来なかった。
「会いたかったんだ琴子。オレの話を聞いてくれ」
「でも…」
「真人くんが淋しいと感じたときだけ、オレはこの身体を借りれるんだ」
「真人が…淋しい…?」
琴は霧がかった目で真人の顔を見つめる。
「こんな話、信じられないと思う。でも琴子、君には真実を知って欲しいんだ」
「真実…?」
「…真人くんの為にも」
真人の為……
「オレの事故と彼の事件の話さ…」
「…関係…あるのね…」
やっぱり…
「簡潔に話す。…オレは真人くんが自殺をしようとする現場にいた」
先生が現場に…?
「オレは彼を止めようとしたけど間に合わなかったんだ…だから…」
だから…?
「救急車を呼ぼうとした。だけど携帯電話を忘れたことに気付いたんだ」
そういえば─
「だから必死になって学校の中の公衆電話を探した。でも見つけられなかった……」
「それで?」
「近くの公園に、公衆電話があることを思い出した」