白い吐息

あの公園……!



「オレは自転車に乗って、その公園まで向かったんだ…」



「それで…それで事故に?」


そんな…


「…ああ」



酷い……


「虚し…すぎるよな…」



先生…



2人は、しばし言葉を失った。


「真人くんは近所の人に発見されて…、オレも見つけてもらえて…同じ病院へ搬送されたんだ」


「先生…意識あったの?」

「ないよ。その時点では生きてはいたけど、情報は真人くんのものだ…」



「…ごめん先生、私…そこが分からない」


何で先生は真人の中にいるのか……



「オレの魂が…この身体を選んだんだ」


「魂?」


「真人くんの魂は消えようとしていた」


魂…


2人の魂…?


「それだけじゃない他の理由もあって、オレの魂は…オレは…真人くんになりたいと思ったんだ」

真人の顔をした先生の瞳から涙が零れた。


「真人に…なりたい…?」





「続きは本人から聞いてくれ…彼が目を覚ますみたいだ」

苦しそうに先生は言った。


「まっ…待って先生!」


「ごめ…琴子…」


息が途切れるようだった。
先生が消えたことを琴も認識できた。
周りの空気が変わったように思えた。

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