白い吐息
「冬休みだし…教室使われないからかな?」
「かもな」
「先生、寒くないの?」
先生は年中無休で白衣姿だった。
「オレはオヤジシャツも腹巻きもしてるからね」
「え〜…なんかカッコ悪いな」
「ウァームビズだよ。地球のためだ」
へぇ〜…
私は相変わらずストーブの前でうずくまっていた。
「琴子、宿題どこまで進んだ?」
「まだやってないよ。冬休み一日目だよ。クリスマス気分だって抜けないのに」
先生ってば、昨日のクリスマスは最高だったのにな。
バラなんか用意しちゃってさ。
「宿題は一日目に半分は終わらせるんだよ。で、次の日にもう半分。そして残りは受験勉強だ」
受験か…
「そんなの無理だよ」
私は卒業したくないな…
「無理じゃないよ。夏休みだって手伝ってやったろ?」
「夏休みに帰りたいな」
私はストーブの一番近くの席に座る。
「夏休みに?」
先生はそんな私の机の目の前にイスを持ってきて座った。
「楽しかったじゃん、今年の夏休み。ここから花火見たりして」
「ああ、琴子が花火は上から見ると線だって言ってたときのな」
「それは思い出さなくていいです!」
恥ずかしいんだから…