白い吐息
そう呟くと先生はニヤっと笑って私を見た。

「琴子、いい女になったよな」

「はっ?」

この人は何を唐突に!


「最初に会った時と、全然違う顔つきしてる」

「…どこが?」

私は自分の顔を両手でもんでみた。

「あの頃は真面目一直線な顔してた。なんか近寄りがたい雰囲気出してたし」

「嘘?」

私ってそんなんだったっけ?

思い出すと恥ずかしくなってくる。


「口も今より上品だったし」

「なにそれ、今は下品ってこと?」


「いや…フレンドリーになったってことだよ…」

私の怒った顔に怯える先生は可愛い。
大人の男の人に可愛いなんて失礼かもしれないけど、私は先生のそんなとこも好きなんだ。
だから、たまにイジメちゃう。

私ってSかな……


「あれ?何の話だったっけ?」

「琴子のお色気の話」

「もぅ!」


いや、やっぱりSは先生だな……


「だってスカートも短くなったし」

先生はズバリ指摘する。


「そっ…そんなことないもん」

あるけど。


先生を好きになって、私だって色々努力したんだから。

メガネをコンタクトに変えたり、ふたつに結んでた髪をおろしてみたり、リップをうっすら色付きにしてみり…

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