白い吐息
皆人はそう言葉を吐き捨てると、階段をドタドタと降りて行った。

ごめん…

ごめんなさい真人…









「白居くん、休みなの?」

「うん。風邪だって」

「風邪ね…」

休み時間、戸部は保健室の関口先生を訪ねていた。

「嘘臭いよな」

「戸部くんもそう思う?」

「だって…長谷川先生、行方不明なんでしょ?」

戸部がうつむきながら言った。

「行方不明は大袈裟よ。ただ連絡が取れないだけ」

「教師が無断欠席…家にもいなかった…って、行方不明と同じだよ」

「そうかもね…」

関口先生がため息をつく。

「実家に連絡は?」

「…まだ。しにくいのよね心配かけたくないし」

「でも、もし事件とか絡んでいたら?」

「取り敢えず、昼まで待つわ。戸部くんも白居くんに連絡してみて」

「わかった」

チャイムが鳴り、戸部は慌てて教室へ戻っていった。

…どこにいるの?


関口先生は窓の外を眺める。

「晴れのち曇りか…」










「どなたですか?」

腰を曲げた主事員の男性が琴に声をかけた。

「卒業生です…。5年前の」

「卒業生さん。……5年前っていうと」

「白居という英語教師が事故にあった時の3年生になります」

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