白い吐息

「…なに?」

琴は先生に背を向けながら返した。



「オレが…どうして死んだのか、知りたくない?」

白居先生も琴ではなく、窓の外を見つめていた。





「真人を…白居くんを助けようとしたからでしょ」


電話を探すため…




「じゃあ、彼が自殺しようとした理由は?」



自殺未遂の理由…



「オレがなんで彼と知り合いだったかは?」



ふたりの繋がり…





「白居くんの自殺未遂の理由は家族の問題じゃないんですか?」

「どんな問題?」

まくし立てる白居先生。



「…勉強ばかりさせられて…教育熱心な親に嫌気がさしたから」



「そんな単純じゃないよ」



やっぱり…違うの…?





「真実はもっと残酷だよ…」




残酷…



「彼はきっと、オレに気を遣ってる気がする」


「えっ?」



「知らなくてもいい事実を知ってしまったから…」



「事実?」




「君だよ…琴子」


私……?




「でも…今オレは、その事実も理由も言いたくないんだ」


「どーゆうことですか?」

「琴子がこっちを見ないのは、オレが真人くんの姿をしているからだろ」

< 297 / 345 >

この作品をシェア

pagetop