白い吐息
「…なに?」
琴は先生に背を向けながら返した。
「オレが…どうして死んだのか、知りたくない?」
白居先生も琴ではなく、窓の外を見つめていた。
「真人を…白居くんを助けようとしたからでしょ」
電話を探すため…
「じゃあ、彼が自殺しようとした理由は?」
自殺未遂の理由…
「オレがなんで彼と知り合いだったかは?」
ふたりの繋がり…
「白居くんの自殺未遂の理由は家族の問題じゃないんですか?」
「どんな問題?」
まくし立てる白居先生。
「…勉強ばかりさせられて…教育熱心な親に嫌気がさしたから」
「そんな単純じゃないよ」
やっぱり…違うの…?
「真実はもっと残酷だよ…」
残酷…
「彼はきっと、オレに気を遣ってる気がする」
「えっ?」
「知らなくてもいい事実を知ってしまったから…」
「事実?」
「君だよ…琴子」
私……?
「でも…今オレは、その事実も理由も言いたくないんだ」
「どーゆうことですか?」
「琴子がこっちを見ないのは、オレが真人くんの姿をしているからだろ」