白い吐息
「何でですか?」
「…家族になりたいから」
そっか…
真人さんは、それを望んでたんだ。
温かい家族。
それは、僕も憧れてる。
家族みんなで食卓を囲んで笑いあうこと。
平凡だけど…僕たちには夢みたいに幸せなことだから。
「時々さ、彼女の名前に白居って名字つけてみるんだ。これがまたしっくりくるんだな」
「へぇ…」
「ゴロがいいんだ!」
「そうなんだ」
彼女の話をするとき、真人さんの目はいつもキラキラ輝いていた。
きっと、素敵な人なんだろうな…。
「名前、いつになったら教えてくれるんですか?」
「彼女がオレのものになったら教えてやる!」
そう言いながらピースする真人さん。
「だから、それはいつですか?…プロポーズいつするの?」
真人さんは大きく息を吸い込んだ。
「彼女が高校卒業する日に…式が終わって、オレが彼女の教師でなくなったら、ちゃんと想いを伝えるよ」
そう話ながら、真人さんの口から零れる白い息。
僕は改めて、この人の熱い想いを確認した。
大丈夫…
真人さんなら
きっと上手くいくよ…
「これ、見てみろ!」
真人さんが、僕の顔の前に携帯の待ち受け画面を近付けた。