白い吐息

「指輪?」

待ち受け画面に指輪…


「これ、彼女に贈りたくてさ」


そういうことか。


「店で写真撮ったら店員に怒られた」


「ハハ…当たり前ですよ」



「お前、よく笑うようになったな」

真人さんは口元に少し笑みを浮かべた。


「…そ、そうかな?」

今、僕笑ってたんだ?


「初めて会った時は、口一文字で生気もなかったもんな」


それは…


「よく成長したな」


それは…真人さん


あなたのお陰だよ…



「まだまだだけどな」

この約1年、真人さんが居てくれたから嫌なことも乗り越えられて来たんだ。

あなたの笑顔に何度も救われたんだ…





あなたが初めて僕に会いにに来た日、初めて兄だと伝えられた日。
ビックリしたけど、本当は嬉しい気持ちの方が大きかった。

父が真人さんと同じ名前を付けてくれたことも嫌じゃなかった。

でも、真人さん、あなたはきっと複雑な気持ちだったと思う。


僕が…


白居真人という名を名乗っていること。




名前を奪われたと思っているかな?

父を恨んでいるかな?



でも

違うんだ!



逆なんだ。

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