白い吐息

父はそのまま白居グループという組織から離れるつもりでいた。

それは家を捨てるということと同じだった。


真人さんのお母さんは、それを拒否した。

家族をとても大切にしている人、そんな真人さんのお母さんが出した結論は、やはり離婚だった。



父は真人さんとお母さんに白居の姓と未練を残して、2人の前から姿を消した。

白居の姓を名乗る2人から森下の家族は離れていった。

残酷とはまさにこのことだと思う。

一番家族を大事にしていた人が、息子と2人きりになってしまったのだから。


真人さんのお母さんは、真人さんを育てる為、必死に働いた。



後に森下の会社は破産、会長である祖父の友人の森下さんと、その妻が自殺。
そして森下家は更にバラバラになってゆく。
唯一連絡が取れるのは真人さんのお母さんの弟だけだった。


度重なる悲劇に、真人さんのお母さんは病に伏せるようになる。


真人さんは、長い間父親は死んだものだと聞かされていたらしい。


しかし、自分の死期に気付いた真人さんのお母さんが以上の事実を真人さんに伝えたんだ。



そして、真人さんは僕に会いに来た。


そう…

< 310 / 345 >

この作品をシェア

pagetop