白い吐息
腹違いの弟である僕のところへ…。
白居真人。
26歳。
高校で英語の教師をしている。
父は白居グループの社長だということを、今年初めて母から聞いた。
母は病に伏せっている。
今でも父のことを想いながら…。
腹違いの弟がいると聞かされた。
白居グループの跡取りになるであろう少年のことを。
どんなに幸せな生活をしているのか、この目で確かめようと彼に会いに行ったのは桜の季節だった。
少年の名前は白居真人。
そう、オレと同じ名前。
お坊ちゃま的な派手な性格を予想していた。
しかし、
彼は真逆の性格をしていた。
目に輝きはなく、いつも背中を丸め、口を閉ざし笑いもしない。
暗い奴…
それがあいつの第一印象だった。
聞けば、家族では会話がなく、勉強ばかりさせられているようだった。
幸せだと思っていた弟は、いつも不幸そうな顔をしていた。
興味が沸いた。
彼のことを知りたくなった。
オレは休みの日になると彼を訪ねるようになった。
小学校の屋上で、他愛もない話をした。
オレは彼の心からの笑顔が見たかった。