白い吐息

…僕は両親に隠れて、内緒で真人さんに会っていた。

真人さんの話をすれば母が傷付くのは分かっていたから。

でも、母は知っていた。
塾から電話があったらしい。

母は、こっそり僕の様子を探っていたんだ。
そして、知ってしまった。

父の愛していた人の子供と僕が会っていることを。



母は真人さんの存在を知っている上で父と結婚した。


でも、名前が同じことは知らなかったんだ。


母はさとってしまった。
父が真人さんを、その母をずっと愛していることを。


そのことが切っ掛けとなり、父と母はよくケンカをするようになった。
家の中はますます荒れていった。

弟の皆人にも迷惑がられた。



ある日、父が手紙を残して家を出ていった。



母は…僕を責めた。




「産まなきゃよかった」

そう言われた…。





そう、僕がいるからみんな不幸になるんだ…



僕が生きてるから母は泣くんだ。



僕がいるから…


みんな不幸になる…



僕がいるから…


僕がいるから…





そうなんだ…



居ないほうがいいんだ…




居なくなればいいんだ…





この世から…

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