白い吐息

『運ぶ…命か…』

『つまりは、自分次第で変えられるってことさ』

『……変えられる』

『ああ』





真人さん…











変えてみせるよ…














だから…






だから…













オレの愛する人は
やっぱり渡せない…









ただ


見守っていてください…










あなたが愛した彼女の運命を…



















「あっ、どーも」

病院の一室で琴の両親は頭を下げた。

「どうです?娘さんの様子は?」

頭を下げ、両親に聞く関口先生。

「…なんの反応もありません。昏睡状態が続いたままです」

琴の母が残念そうに話した。

「ちょっと娘さんに話があるんです。2人にさせてもらってもいいですか?」

「ええ、私たちは下の食堂で昼食を取ってきますから」

「申し訳ないですね」

関口先生は深々と礼をした。

「いえ、今ちょうどそのつもらでいたんですよ」

琴の母は優しく微笑んで、静かに退室した。


日差しが眩しい部屋だった。
関口先生はカーテンを全開にする。

「よかったわね、あんた。狭い個室から2人部屋に移動できて」

いつもの口調で琴に話し掛ける関口先生。

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