白い吐息
「まぁ、2人部屋って言っても、隣の人いないから1人だけどね」
いくら話し掛けても琴からの返事はない。
琴はベッドの上で表情ひとつ変えず眠っていた。
「…白居くんがね、全部話してくれたの」
そう言いながら、関口先生はベッドの脇のイスに腰掛けた。
「彼の自殺未遂のこと、白居先生のこと、家族のこと、森下のこと…とにかく全部隠さず打ち明けてくれたのよ」
関口先生は琴の手を握った。
「白居くん、白居先生を事故に巻き込んだこと、ずっと気にしていたんですって。…まあ、当たり前よね」
関口先生は微笑みながら続けた。
「全て、自分のせいだと思っていたらしいわ。親にも責任があったのに…可哀想。だから、白居先生が貴方を好きだったって分かった瞬間、あなたを手放さなければと思ったらしいの…」
"オレが自殺未遂した後、父が…自分のせいでオレがこうなったと思ったらしくて…家を出たんです…母も異常に気を使うようになって…"
「お父さんや名前を独占したと思い込んでいたのね…だから、あなたを白居先生に返そうとした」
"長谷川先生を好きになったのはオレの中の白居先生だと思ったんです。だって一目惚れだったから"