白い吐息
「でも、違うって分かったんですって。…本当に愛してるなら、好きな人の死は望まないからだって…」
"白居先生も、オレの気持ちを分かってくれたんだと思います。だから、あの瞬間手が止まったんだ"
「白居くん、白居先生はもう自分の中に居ないって言ってるわ。白居くん、悪夢を見なくなったって言ってた。最後の夢に白居先生が出てきて、こう言ったらしいの」
"オレは白い吐息になって、空高くからお前たちを見守るよ"
「白い吐息の意味はあえて考えないって言ってるわ。きっと、あなたとの思い出だろうからって」
関口先生は琴の頬を撫でた。
「あなたが学校のプールに落ちたのは、きっと先生が助けてくれたのね。」
そしてフフっと笑う。
「明後日、白居くんの誕生日、みんなで祝おうって決めたのよ。戸部くんも、田口先生も、森下のバカも、みんなみんな待ってるから早くあなたも来なさいよ」
関口先生は優しく微笑みかけ、病室を後にした。
『先生?』
『…そうだよ』
『…ここは…どこなの?』
『多分…夢の中かな?』
『夢?』
『先生…私…』
『ごめんな琴子』
『何が?』