白い吐息
自殺未遂のことは、いつか真人から話してくれるような気がしていたのだ。
琴の中で真人の存在がとても大きなものへと変わっていた。

白居先生を忘れられる日は近い…
琴はそう思った。

I believe him.










コンコン…
保健室のドアが叩かれた。

「は〜い」

「失礼します!」

ガラカラとドアを開けて入ってくる琴は軽く舌を出している。

「来ると思った…」

呆れた顔で関口先生が出迎える。

「何で分かったんですか?」

「あんた朝の職員会議のとき居眠りしてたじゃない」

さすがベテラン保険医。
関口先生は琴のことをしっかり見ていたのだ。

「やっぱ、かなわないなぁ〜」

「耳が遠くなった校長と一緒にしないでよ」

「と、いうわけでベッド借ります」

関口先生の言葉をかわし、保健室のベッドに飛び込む琴。

「眠れないようなことでもあったの?白居くん、ちゃんと部活に出てるらしいじゃない」

「関口先生!何で知ってるの!?」

琴は飛び込んで間もないベッドからガバッと起き上がる。

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