白い吐息
「森下先生が教えてくれたのよ…白居くんの担任でしょ」
と話しながらお茶をすする関口先生。
「森下先生が……?」
「あの先生、白居くんのこと気に掛けてるらしいわね。彼、この間無断欠席したんだってね」
淡々と語る関口先生。
「えぇ、…私がここで泣かせてもらった次の日…」
「あらっ、あなたが原因なの?」
「ちっ違いますよ!原因は知りません…」
「残念ね」
関口先生はニヤニヤして琴を見た。
「それで、…先生、森下先生に何か話しました?」
「何かって?」
「私が好きだった先生と白居くんが同姓同名だってこと…」
「話すわけないでしょ。私はそんなに口は軽くないわよ」
「そーですよね。信用してます」
琴が頭を下げる。
「それにあなたが森下先生苦手なの知ってるしね」
それを聞いて琴は頭をかいた。
「私ならあーゆー軽そうな男は一言で撃沈できるけど、あんた若いから…厄介ね」
「はぃ…」
小さく返事をして、琴は再びベッドに横になった。
「午後の授業までには、ちゃんと起きるのよ。私はこれから用事あって直帰するから、帰るとき鍵閉めていってね」
「ふぁ〜ぃ…」
琴は半分すでに夢の中だった。
「まったくこの娘は…」
母親のような笑顔で琴を眺めると、関口先生は保健室を後にした。