白い吐息
『でも、先生、白衣似合うよ』
『マジ?』
『理科の先生になれば良かったのに』
『理科ねぇ…化学も生物もあんま興味ないな』
『ねぇ、先生は何で英語教師になろうと思ったの?』
『おっ、真面目な質問じゃん』
『いつも真面目です』
『…これからの時代ってさ、世界を相手にする事が増えると思ってね。それにはまずコミュニケーションが取れないといけないだろ』
『自分が世界で活躍することは考えなかったんですか?』
『んー。考えたには考えたけどね…』
『貿易会社の社長さんとか?』
『……イキナリ社長か?』
『インテリ系似合いそうだから』
『でも、オレは教師になりたかったんだ。沢山の生徒に出会えるからね。こうして琴子にも出会えたし…』
『……』
『みんなの将来が楽しみだよ…』
放課後。
琴はいつものように生物室にやってきた。
少し扉が開いている。
どうやら真人が先に来ているようだ。
「……」
ドキドキしながらゆっくり扉を開ける琴。
中に入るが誰も居ない。
しかし、いつもの席に真人のカバンが置いてある。
「白居くーん…」
ガダッ