白い吐息
「あっ…そうか…」
真人は額の汗をぬぐった。
「本当に私のこと好きなの?」
冗談半分で尋ねる琴。
「好きだよ…」
その即答に琴は自分で聞いておきながら恥ずかしくなる。
「…白居くん、モテそうなのに…何で私みたいなの選んだの…?」
真人に背中を向けて座っているのをいいことに、琴は際どい質問をすり。
「一目惚れだから…」
「本当…なの?」
「人をこんなに好きになったのは初めてだよ」
琴の身体が熱くなる。
胸がドキドキと大きく音を立て始めた。
それでも琴は質問を続けた。
「今までは?」
「可愛いとか、キレイだなって思う人はいたけど、好きって感覚はなかった…まぁ行為はあったけど…」
「こっ…行為?」
琴の心拍数が一気に上昇する。
「でも、暇潰しみたいな感じ?ねだられたからしただけだし。愛はないよ。キスだって自分からしたことないし…」
真人は淡々と話した。
「…暇潰しって、モテる人は言うこと違うわね…」
琴は手で顔を扇ぐ。
「先生は?」
「私!?」
「オレにだけ言わせてズルい」
真人は黒板に落書きしながら軽く問う。
「…私も、先生に出会うまでは本当の恋は知らなかったよ…。憧れの先輩とかはいたけど…」
椅子の上で膝を抱える琴。
「経験は?」
「いちいち聞かないでよ」
琴は足をバタつかせる。
「ないの?」
「…キスしたことすらないわよ…」